非対称バランスのアレンジメント。見た目のバランス点が、この場合は少し左寄り

query_builder 2024/06/15
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[生徒さん作品]
非対称バランスのアレンジメント。見た目のバランス点が、この場合は少し左寄り。 意図して、バランス点を器の真ん中(中心線)から外します。
やってみると意外に難しい。


非対称バランスだと、対称バランスよりも視覚的に動きが生まれる。動きのあるものを、目は勝手に追う。動物は獲物を追うという本能からのことで、「動き=生きている?=獲物?」と脳の回路がつながっていく。

アレンジメントや生け花の作品を考える時に、「動きのある」ことを目指すと、おもしろい(目を惹く)ものができることが多いと感じます。

さて、この作品は中心線辺りに濃い緑を集めたことで、少し左のマリーゴールドの黄色が活きています。色の配置やバランスを取ることもとても大事。

色んなことを考えながら進める作業は、創造力と技術と感覚と…脳を楽しませてくれる。いつもの時間の過ごし方にはない刺激的なことをすると、脳の前頭葉が活性化されて、ここを鍛えると物忘れ防止策になると色んな本に掲載されているのです。スマホとにらめっこで、数字を1~10まで並べるパズル等色々ありますが、それとはまた違う脳の使い方なのだろうと推測します。


植物には香りもありますし。花だけでなく葉からもアロマ(精油成分)が、しかも天然の香り成分が放たれるのです。成分が閉じ込められていても切ったり擦ったりすることで、分子が弾けて突然に空気の味?が変わる。これは香りに刺激されるのと、突然空気が変わるのと両方の刺激が味わえるといえるでしょう。


今回の花材の中の、「マリーゴールド」はキク科の植物。茎を切ると少し苦みのあるようなスパイシーな香りがする。私はこの独特の香りが、なんとも好き(笑)で、体内に吸い込むと健康になれそうな気もするのです。 キク科なので菊の香りに近い...菊菜の香りに似ている気もするね、そんな話も生徒さんとしていました。


アロマテラピーには心理効果と薬理効果の2つがある(関西福祉大学資料)とされています。気になったので調べてみると、以下のページが見つかりました。

①薬理効果

「わかさ生活」さんのホームページでご確認を。マリーゴールドの薬理効果がくわしく説明されていて、面白い。

②心理効果

嗅覚は脳にダイレクトに働くということが、アロマテラピーの世界で言われています。「嗅覚回路というのがあって、他の感覚より情動と密接した感覚系であると考えられている」と柏谷先生。香りを嗅ぐと、まずはその香に対しての感情が動くということが、養命酒さんのホームページに説明がありました。

*私が健康になれそうな気がするというのは「心理効果」で、目の健康、胃炎や胃潰瘍を予防する、女性特有の悩みを改善するという薬効成分がマリーゴールドには含まれていて、「薬理効果」も見込まれるということですね。


色についても研究がされています。黄色は有彩色の中で一番明るい色。光の色に近い。反対に、青(藍)は一番暗い、闇(光のないところ)の色。色彩心理学ではこの2色が色の基盤になっているようだと、ゲーテと空海の色の考え方を研究された先生から学びました。

「黄色は光に最も近い色彩である。くもりの媒質を通過させるだけでも、また白い面に軽く反射させるだけでも、ともかく光をほんのわずか和らげるだけで、黄色が生じる。... 最も純粋な黄色は必ず明るさを具えていて、明朗快活で、心地よい魅惑的な性質をもっている。」:ゲーテ「色彩論」教示篇七六五~七六八

ゲーテはこのように黄色のことを述べています。光の本質を考えると黄色の本質も見えてくる、黄色は光のように明るさをもって四方八方に放射する色。青(藍)は逆の本質をもつ色だということになります。


色彩心理学を教わったあと、色彩に対する人間心理を学ぶ際にはゲーテの考え方は切り離せないと思うようになりました。自然科学者ゲーテが語る「色彩論」、難しいのですが少しずつ読み進めていきたいと思います。

「生け花」になると、また違う切り口で語りたいことやお伝えしたいことが出てきますが、またの機会に。生け花は哲学的な考えが興味深いのですよ。

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アトリエ樹和花

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